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相続と遺贈と死因贈与の違い

弁護士 金田正敏

 

1 人が亡くなる場面において、生前に築いた財産を譲る方法として、「相続」「遺贈」「死因贈与」という方法を挙げることができます。どの方法も、人の死亡をきっかけとするという意味で似ているようにも思えますが、法的な違いを理解しておかなければ、思わぬ事態を招く可能性があります。今回は、これらの違いについて解説していきます。

2 「相続」とは、法律上、決められた「法定相続人」に対して、主に法律上の相続分に応じて亡くなった方の権利義務を承継させることをいいます。権利義務を相続させることができる人は法定相続人に限られてしまい、友人や介護でお世話になった人に財産を相続させることはできません。ルールによって縛られる場面が多い「相続」ですが、相続税の計算方法や、不動産登記を単独ですることができるなど、メリットも用意されている手続きです。

3 「遺贈」とは、遺言によって財産を無償で譲ることをいいます。民法上のルールによってされる相続とは異なり、遺贈の相手は、制限がなく、法定相続人でなくても構いません。したがって、親族以外の友人や介護でお世話になった人を相手として指定することができます。ただし、相続との比較で、税金上や不動産登記の方法などの点で、デメリットが生まれる場面もあります。

4 「相続」と「遺贈」は、どちらも遺言書に記載する方法で行うことができます。ただし、「遺贈」は遺言によって行わなければならないのに対し、「相続」はたとえ遺言をしていなくとも自動的に行われるという違いがあります。

5 上記2つの手続きは、亡くなる人の一方的な意思により、財産を承継させることができる手続きになり、相手方の同意なく行うことができる方法です(「単独行為」ともいいます。)が、「死因贈与」はこれらと違います。「死因贈与」とは、贈与する人が亡くなることを条件に、ある財産を譲る契約のことを言います。あくまで契約なので、両者の合意によって成立するものです。したがって、相手方と必ず合意をする必要があります。その契約の相手方に制限はありません。契約方法も、証明の問題は残りますが、書面によらなくても成立します。また、適用される税金は、通常の贈与契約にされる贈与税ではなく、死亡を原因とすることから相続税になります。

6 「相続」「遺贈」「死因贈与」には、大きくわけて上記のような違いがあり、それぞれメリット、デメリットがあります。どの方法によるのがベストなのかは、承継させる財産や、相手方と本人の状況、税金の問題など、様々な要素を考慮して考える必要があります。

7 終活を意識して、財産をどのように承継させようかを考え始めた場合には、ぜひ専門家である弁護士に相談の上、一番納得のいく方法を模索されることをお勧めします。

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