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再婚(養子縁組)に関連する相続問題

弁護士 成末奈穂

 

1 厚生労働省の調査によると、2019年に結婚した夫婦のうち、少なくともどちらか一方が再婚である割合は26.9%に及んでおり、実に4組に1組以上の割合になっています。

再婚の場合、夫婦どちらかにいわゆる「連れ子」がいることもよくあります。そこで、今後、連れ子と養子縁組をすべきなのかどうかを決めるにあたり、養子縁組をした場合、その養子の相続関係がどうなるのか、相談されることがあります。具体的には、

  • 養子縁組すると、その養子は、実の親の相続はできなくなってしまうのか
  • 養子縁組すると、その養子は、養親である自分の実子と同じように相続人になるのか、また、相続人になる場合、その相続分は同じなのか
  • 実子と養子の間に、相続の差をつけることはできないのか
  • 養子の実親との関係を一切断ち切り、養子が実親の相続人にならないようにする方法はないのか

といった相談です。以下、順番にお答えしていきたいと思います。

 

2 ①について

通常の養子縁組の場合、縁組をすることにより、実親と養子との親子関係が終了する、との規定はありません。養子には、養親・実親の両方と親子関係があることになります。

したがって、養子縁組をしても、実親の法定相続人であることに代わりはありません。

 

3 ②について

民法809条は「養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。」と規定しています。例えば、妻が再婚で、妻と前夫との間の子について、妻が親権者である場合、夫が養子縁組をすると、夫と妻との間の子の身分を取得するということになります。

したがって、養子縁組をした場合、その養子は、養親の実子と同じように、養親の法定相続人になります。また、法定相続分も均分ですから、実子と同じとなります。

 

4 ③について

養子に限ったことではありませんが、遺言で、子の相続分に差をつける指定をすることは可能です。ただし、子には遺留分(法定相続分の2分の1。民法1028条)がありますので、遺言で、法定相続分の2分の1に満たない財産しか相続させない指定をしてしまうと、遺留分侵害額請求をされる可能性があり、のこされた子どもたちの間で紛争が生じてしまいます。なお、遺留分侵害額請求の詳細については、コラムのバックナンバー(https://www.legal.ne.jp/column/orbis2183/)をご覧ください。

5 ④について

民法817条の2以下には、実方の血族との親族関係が終了する縁組(特別養子縁組)について規定されています。特別養子縁組の制度は、さまざまな理由で実親と暮らすことができない子に新たな養親子関係を築き、温かい家庭環境の中でその健全な養育を図ることを目的とするものですが、制度上利用しにくいとの声がありました。そこで、2020年4月1日施行の改正民法より、養子となる子の年齢の上限が6歳未満から15歳未満に引き上げられたり、手続きが合理化されたりしました。

特別養子縁組が認められると、養子と実親との親子関係は終了しますので、養子は実親の法定相続人にはなりません。

 

6 以上、再婚(養子縁組)に関連する相続問題について、基本的な相談とそれに対する回答をお示ししました。実際に、(特別)養子縁組をする際の手続き、縁組後の遺言書作成等も含め、ご不明な点があれば、お気軽に弊所までご相談下さい。

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