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韓国の4人以下の事業場における労働法

弁護士 丁海煌

 

日本企業が韓国に進出し、子会社等を設立して事業を展開する場合において、韓国労働関係法令に関する質問を受けることが多々あります。日本と大きく異なる点として留意しなければならないのは、韓国は常時従事する労働者の人数が4人以下なのかどうかによって労働法関係法令の適用が異なる点です。

 

韓国の勤労基準法(日本の労働基準法に相当)は、その適用範囲を常時5人以上の労働者を使用するすべての事業または事業場と規定し、常時4人以下の労働者を使用する事業、または事業場については、施行令で定めるところにより、そのうち一部の規定のみ適用されるようにしています(勤労基準法第11条)。

期間制及び短時間労働者保護等に関する法律(以下、「期間制法」という。)も、勤労基準法と同様に、原則的に常時5人以上の労働者を使用するすべての事業又は事業場に適用するものの、常時4人以下の労働者を使用する事業又は事業場については、施行令により一部の規定のみ適用されるものとしています(期間制法第3条)。

しかし、このような原則が全ての労働関係法令に同一に適用されるわけではなく、例えば労働者退職給与保障法の場合、常時労働者数を考慮せず、「労働者を使用するすべての事業または事業場」に適用されます(労働者退職給与保障法第3条)。

このように、韓国の労働関係法令は、個別の法律によって「その事業または事業場に勤務する常時労働者数」を基準に、該当法令または細部条項の適用の可否を別に規定しているため、当該事業または事業場における常時労働者数を把握することは、労働関係法令の適用可否を検討する上での第一段階となります。

 

常時労働者数が4人以下の場合、勤労基準法上、労働契約締結時の労働契約書作成·交付義務(同法第17条)、解雇の予告(同法第26条)、休憩(同法第54条)、週休日(同法第55条)などの一部条項は適用されますが、適用が排除される規定が非常に多いです。

例えば、解雇事由制限規定(勤労基準法第23条)が適用されないため、正当な理由がなくても使用者はいつでも解雇が可能となりますし(極端なことを言えば「あいつ生意気で気に入らない」といった程度でも解雇可能)、労働時間制限規定(同法第50条)の適用を受けないため、法定労働時間を超える労働が可能であり、超過労働手当の支給義務もありません。また、年次有給休暇(同法第60条)を与える義務もなくなります。更に、期間制法が適用されれば、原則として期間制労働契約期間は計2年に制限され、これを超えると期間の定めのない無期契約へと転換されるところ、期間制法も常時5人以上の労働者を使用する事業又は事業場にのみ適用されるため、4人以下の事業場においては、2年を超えて期間制労働者を使用することが可能となります。

 

上記のように、韓国労働法は日本労働法と異なる点が多々あります。

韓国への進出にあたり、韓国労働法制についてご不明な点がございましたら弊所に気軽にご連絡頂ければと思います。

 

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