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過労死ラインとは~企業と従業員の「健康」のために~

弁護士 金愛子

先日、人気洋菓子店で過労死ラインを超える残業が常態化しているとの報道がありました。しかも、一部の従業員には残業代の不払いもあったとのことです。この報道には様々な問題点が含まれていますが、ここでは、「過労死ライン」とは何か、一度おさらいしてみたいと思います。

 

過労死ラインとは、病気や死亡に至るリスクが高まる時間外労働時間のことをいい、労働者に発症した脳・心臓疾患を労災認定する上での基本的な考え方として厚生労働省が示した「脳・心臓疾患の認定基準」を指します。より具体的に言うと、「発症前1ヵ月間におおむね100時間」あるいは「発症前2~6ヵ月間にわたっておおむね80時間」を超える時間外労働がある場合は、業務と発症との関係性が強いとされています(2021年11月5日現在)。

 

長時間労働が続けば、疲れがとれなくなり、仕事をする体力・気力が湧かなくなり(意欲や能力の低下)、睡眠の質が落ち、仕事上でのミスが増える、といった事態が多く発生します。また、イライラして人間関係が悪化する、という状態になった方も多いのではないでしょうか。

実際、長時間労働が続くと、身体も精神も不調に陥り、病気になってしまうことが多いのです。従業員がこのような状態では、企業にとって良いアイデアや企画が生まれるとは到底考えられません。すなわち、長時間労働は、従業員の健康はもちろんのこと、企業にとっても避けるべきことなのです。

 

そもそも、労基法上、時間外労働の上限時間は原則として月45時間・年360時間です。いわゆる36協定を結めば、この上限を超えることはできますが、それでも月100時間(休日労働を含む)を超えることはできません。

このように、過労死ラインとは、そもそも違法な残業であり、従業員・企業の双方にとって、絶対に避けるべきものです。

もし、過労死ラインを超える残業を放置した結果、従業員がうつ病に罹患して自殺等してしまった場合、遺族から裁判を提起されるリスクもあります。また、企業イメージの低下など、企業にとって良いことはありません。

長時間労働が常態化しているのであれば、ぜひ、原因を分析して、労働環境を是正していただければと思います。何か不安点等がありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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